大好評インタビューシリーズ第14弾

公認会計士で、ビジネス書の著者としても大人気の望月実先生にお話を伺ってきました!


プロフィール
望月実(もちづきみのる)
公認会計士 ビジネス書著者

1972年愛知県名古屋市生まれ。
立教大学卒業後、大手監査法人に入社。
監査、株式公開業務、会計コンサルティング等を担当。
2002年に独立し、望月公認会計士事務所を設立。
ドラッカー学会会員。 日経ビジネススクール講師。

ホームページ「ACCOUNTING INTELLIGENCE」
メールマガジン「経済丸わかり〜公認会計士が教える使える知識」

著書
『数字がダメな人用 会計のトリセツ』
『会計を使って経済ニュースの謎を解く』
『有価証券報告書を使った 決算書速読術』
『問題は「数字センス」で8割解決する』


11月5日 日経ビジネススクールにてセミナー「有価証券報告書の読み方・使い方」



小川「今日はよろしくお願いします」

望月先生「こちらこそよろしくお願いします」

インタビュー望月実先生





エコノミストから会計士

小川「望月先生は公認会計士でいらっしゃるわけですが、そもそも何故このお仕事を選んだかというところから伺ってよろしいですか?」

望月先生「私は高校生の頃は“エコノミスト”になりたかったんです。当時はバブルでしたから、もてはやされてたし、なんだかカッコ良く見えたんですよね。」

小川「エコノミストですか。」

望月先生「経済のわかる人という意味で。ところが、大学に入学した頃、バブルがはじけてしまった。そうしたら何が起こるかというと、エコノミストがカッコ良くなくなりました(笑)マクロ経済って言うのですが、扱う対象が大きすぎるんですよね。結局よくわからないじゃん、という風潮でした。
それで、企業のことがわかれば世の中のことがわかるのではないかと考えました。会計を知れば、経済がわかるのではないかと。会計を勉強しようと思ったのはそれが最初ですね。
その時たまたま、会計士の受験に誘われたんですよ」

小川「受験に誘われたんですか?(笑)」

望月先生「大学の同級生に、こういう試験があるから一緒に予備校行こうよって。大学に入るまで私は公認会計士というものを知りませんでした(笑)」

小川「ちなみに大学では何を学ばれていたのでしょうか?」

望月先生「経済学です。でも、つまらない授業が多かったですね(笑)。1年生の頃に出ていたある授業の担当教授が、おまえらは勉強しないとか言うわけです。でも、面白い授業、役に立つ授業だったら勉強しますよね。そういう授業は人気があります。」

小川「そうですよね。どうしても先生によりますよねぇ」

望月先生「1年生の最後の授業で、担当教授から講義の感想を書くようにと言われました。“オレに対する批判でも、当たっているならちゃんと点をやるから書け”と。それで、“先生は私たちが勉強しないと言いますが、それは私たちだけの責任ではないと思います”みたいなことを書いたんですよね。
もうちょっと柔らかくですけど(笑)
その結果、評価はCでした。ギリギリ単位はもらえるけど、最低ランクの評価。
これはもう、イヤだなと思いましたね。
今考えると大人げなかったですけど(笑)。もともと私は研究に興味があったのですが、大学でこんな様子だったので、ゼミに入るのもやめました。会計の勉強をすることにしました。」

小川「なるほど、そういった経緯もあったのですね。それで、受験予備校にも通ったわけですか?」

望月先生「はい、2年生の期末試験が終わってからカリキュラムがはじまりました。」

小川「大学卒業後、大手監査法人に入られたのですよね。」

望月先生「会計士の試験って、卒業後半年で合格すればなかなかいいコースなんですね。私も半年で受かりたかったのですが、その時はダメでした。1年半浪人時代があったことになります。97年に合格しました。」

本の執筆が中心に

小川「合格して、監査法人に入られて。2002年に独立されたのですね。今のお仕事の中心はどのようなことですか?」

望月先生「独立してすぐは会計士の仕事が多かったのですが、今は全体の7割位は本の執筆やセミナーなどに使っていると思います。理由は2つあります。
まず1つは、本って書くのにすごく時間がかかるんですよ。しかも、1年かけて書けばいいものではなくてスピードも必要。そうすると会計士の仕事と両立するのはかなり難しいんですね。
もう1つは、本は次々出さないと、本屋に並びにくいということがあります。この生活がずっと続くとは思っていませんので、今は書く時期だなと思っています。ちなみに、5冊目の本は仕事に役立つ管理会計の本で、執筆中です。6冊目ももう決まっています。」

小川「なるほど、勢いにのっていらっしゃいますものね。最新刊は『問題は「数字センス」で8割解決する』ですよね。読ませていただきましたが、本当に面白かったです。知識としての数字ではなく、道具としての数字。目からウロコでした。」

望月先生「ありがとうございます。この本はとても女性にウケがいいですね。」

小川「私も含め女性は数字が苦手な人が多いので、この本を読んで、とてもわかりやすいので“そうか!”と思うのでしょうね。」

望月先生「数字に強くなりたいと思ったら、まず身近な数字に注目することです。GDPとかどうでもいいんですよ。わからない数字を覚えたって面白くない。ウラにある意味がわからないと面白くないですよね。
人って、確率で生きているわけでもないし、重要なのは“自分”でしょう。失業率が何パーセントなんてどうでもいい。それが自分にどう関わってくるのかが知りたいですよね。」

小川「はい。ただの数字の羅列だと面白くない。意味がわからないから、つまらない。」

望月先生「数字ってつまらないというイメージがあると思うんですよ。それを変えたいと思っています。」

プレゼン資料の作り方

小川「コミュニケーションにおいて、言葉の使い方って当然大切ですよね。勉強する人はとても多いと思います。でも、コミュニケーションにおける数字の使い方って教わることもないし勉強しませんよね。望月先生の本を読んで、言葉と同じように、数字も道具であって、コミュニケーションに使えるのだということがよくわかりました。数字に苦手意識があるのはとてももったいないことなんですね。」

望月先生「そうなんですよ。プレゼンにどうやって数字を使うか、どういう数字を選ぶかというのを書きましたが、これというのも自分の経験からとても有効だったものです。会計士になったばかりの頃、上司に資料のダメ出しをたくさんされるわけですよね。私はいかに無駄なツッコミをされないかというのを考えました。もちろん嘘はつきません。数字をうまく使って、大事なところを分かりやすく説明するんです。聞いている方は大事なところを分かりやすく説明されると、納得してそれ以上は突っ込もうとしないものです。
周囲を見ていても思うのですが、“仕事ができる人”って、説明がうまい人です。知識のレベルはそれほど差がないんじゃないでしょうか。
相手の知りたい数字を見せる、疑問に先回りして提示する・・・といったことで、上手に説明するんです。」

小川「“人前で話すのが苦手だったから、プレゼン資料をきちんと作りこんで視覚的に内容が伝わりやすいようにした”と書かれていましたね。」

望月先生「今でも話すのは苦手なんです(笑)。」

小川「視覚的に内容が伝わるグラフですけれども、実はグラフも何を伝えたいのかによって変わるのですね。同じ数字を使っても、縦軸と横軸をカスタマイズすると見た目が全然違う。これも面白かったです。軸の長さを変化させるか、目盛の範囲を変化させるか。」

望月先生「今回の本には書いていませんが、あともう1つあります。例えば、ガソリン価格って上がってきていると思いますか?」

小川「はい。」

望月先生「こういうグラフだと、上がっているなと思いますよね。

ガソリン価格グラフ1











スタートがここだからそう思うわけです。
でも、かつても今と同じ金額だったときがあった。

ガソリン価格グラフ2











こっちのグラフを見たらどう思いますか?」

小川「一度下がって、また上がっているから、昔に戻ったと思います。」

望月先生「つまり、どこで切るか。時間軸というのも1つ要素としてあるのです。」

小川「なるほど!どこで切るかでまた全然違ったメッセージになってしまう。面白いですね。
今わりと会計本ブームだと思うのですが、望月先生の本はその中でも“数字の意味を読んだり、道具として使うことによって仕事に役立ち、面白い”という特徴があるのかなと思います。」

望月先生「そうですね。仕事に使えるというのが第一で、いかに面白くわかりやすくするかというのを考えて書いています。」

日本人を数字に強くする

小川「望月先生の今後の夢はなんですか?」

望月先生「日本人を数字に強くすることです。
小川さんはずっと経理をやられていたそうですが、どうでしたか?」

小川「はい、経理の日常業務は楽しくやっていましたが、決算書を読むとかってなるとどうもダメでした。」

望月先生「経理って決算書を作るほうですからね。経営者としては、説明をしてほしいのですが、経理の方は決算書の数字の中身を説明するのは苦手な方が多いようです。
私が監査法人にいた頃、最初の2年くらいは大企業の監査チームの一員だったんですね。経理の方とやりとりをしていましたから、会計の言葉を使ってもわかってくれるし、コミュニケーションに不都合はなかった。でも、3年目からベンチャー企業の主査をすることになって、会計上の検討事項を社長と話すようになったら、“わからない”と言われたんです。社長はビジネスのことはよくわかっているのですが、決算書ってよくわからない。とくに貸借対照表ってよくわからない。私は、ビジネスに結び付けてその数字を説明するようにしました。そうしたら、とても喜ばれたんです。ああなんだ、そういうことか、と。
ビジネスと数字を結びつけるというコンセプトの本っていうのはあまりないんですよね。それが今本を書いているきっかけとなっています。
ビジネスだけでなく現実世界と数字を結びつける橋渡し役になりたいと思っています。」

ライフスタイルと数字

小川「この記事を見ている読者の方にメッセージをいただきたいのですが・・・数字があまり得意でない人はどうすればいいでしょうか?」

望月先生「数字が苦手なのは、これまでの教育が良くなかったからだと思います。数字は難しいものではありません。とても役に立つものです。身近な数字から見ていってください。実生活の中の数字を見ていってください。“ライフスタイルと数字”っていうのも面白いですよね。たとえば私はダイエットをやっていますが・・・」

小川「どんなダイエットですか?」

望月先生「エクセルのシートの真ん中あたりに体重を記録して、シートの上半分に体重を増やす要素である食べたもの、下半分は運動など体重を減らす要素を書き出すんです。記録を続けていると、だんだんわかってくるんですよね。飲み会が続いた時は、2週間後くらい後に体重が増えるとか。逆に痩せるのもタイムラグがあるとか。
飲み会1回を相殺するのにこのくらいの運動が必要とか。」

小川「へぇー。」

望月先生「この方法で痩せましたよ。ライフスタイルを数字を使って良く出来ないかというテーマです。やはり体重を見ないとダメですよね。」

小川「すごいですね。それはまた女性に人気が出そうなテーマです。ぜひ、本にしてください(笑)」

望月先生「あと、実はボイストレーニングをお風呂の中でやっていたらウエストが細くなりました。もともとは人前で話すなら発声をちゃんとやろうと思って始めたのですが。」

小川「えっ。発声をちゃんとするとウエストが細くなるのですか。私はボイストレーニングの教材は持っていますが、まだ真面目にやってなくて(汗)」

望月先生「それから、あともう1つお伝えしたいのは、夢をかなえるには2つ必要だということです。1つは実力。たとえばある仕事をしたいと思っても実力がなければできないじゃないですか。あともう1つは資金繰りですよね。お金がなくなってしまえば、夢に向かい続けることができない。漠然と考えるのではなく“数字”にすればそれを見て判断できます。“数字”にすれば、不安を減らすことができます。今いくらあって、今月どのくらい必要で、どのくらい収入が見込めるのか。そうするといつまでにどのくらいお金があるべきなのか、そのためにはどうしたらいいか。このへんをきちんと考えないと、必要以上に不安にもなるし、気づいたらお金が底をついてしまったりで、続けられなくなってしまうのです。」

小川「なるほど。本の中でもおっしゃっていたように“ストック”だけ見てもダメですね。 “フロー”の考え方も必要。とても勉強になりました。
今日はお忙しい中、貴重なお話をたくさん聞かせていただきましてどうもありがとうございました。次回作も楽しみにしています。」

望月先生「喜んでいただけると私もとても嬉しいです。ありがとうございました。」





インタビューを終えて

5冊目の著書を執筆中でお忙しい中、インタビューを受けてくださった望月先生
数字を道具としてうまく使うことによって、いかに仕事に役立つかというお話は、これまで私自身があまり興味を持っていなかった分野でしたが、本当に面白い!
グラフを書いたり、たとえ話をしたりしながらとてもわかりやすく教えてくださいます。

セミナーも本も、女性にウケがいいというのは、身近な数字を使ってわかりやすく説明していること、グラフや絵などを使って視覚的にもわかりやすく、イメージしやすいことがあるのかなと思いました。

「会計」を詳しく知る必要はない人でも、数字を読む力や数字で伝える力を身につけると、ニュースにだまされなくなります。人を説得できるようになります。
これはすごい力です!


今後も望月先生の本が楽しみです。

ぜひぜひ、ダイエット含めた“ライフスタイルと数字”の本も


最新刊、とてもオススメです!
まだ読んでいない方はぜひ。

問題は「数字センス」で8割解決する





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