Sはサディズム、Mはマゾヒズムの略であり、かつては特異な人たちの性的嗜好のことを指していた。しかし、現在は違う。ダウンタウンはじめお笑い芸人が頻繁に使うようになったからか、「SM」はすっかり一般的な言葉となった。

そもそも、「SM」という言葉の産みの親は団鬼六(だんおにろく)。『花と蛇』などの著作を持つSM小説の第一人者だ。1950年代半ばに東京で創刊された風俗雑誌「裏窓」に、副題として「サディズム・アンド・マゾヒズム・コーポレーション」という長い名前がついているのを見て、「長すぎるからSM雑誌とした方がいいのではないか」と提案したのが発端だと言う。

その団鬼六氏による『SかMか』(朝日新聞出版)によると、もともと一人の人間は「S」と「M」の要素を均等に持っている。その均衡が崩れて、Sの方が多くなれば「S」になり、Mのほうが多くなったら「M」になる。自分がSかMかわからない人は10人中8人くらいいるようだ。つまり、均衡を保ったまま一生を終える人である。

団鬼六は自分のことを「S」だと認識しているが、それもS60%でM40%の「S」だそうだ。だから、Mの気持ちもわかり、小説が書ける。

Sの先輩










SM小説というのは、性的なSMの話であるのだが、団鬼六は「性的なSMと社会的なSMは全く違う」と言う。昼と夜で逆転することもありえる。

SM型は、血液型よりずっと相手とのコミュニケーションに役立ちます。
実は、世の中でモテる男というのは、ほとんど無意識に相手に合わせてSとMを上手に使い分けているのです。


ざっくり言うと、「S」の人間は攻撃的で現実主義者、「M」の人間は奉仕的でロマンチストといった特徴がある。これを見分けて、相手に合わせていけば、スムーズなコミュニケーションがはかれる。

要するに、「タイプ分け」である。人間をいくつかのタイプに分けて、コミュニケーションに役立てようとするものはいくつかあるが、その中に「SM」が入り込んできたのだ。

たとえば、『ドS型・ドM型人間取扱説明書』(橋本真由美・マガジンランド)は、SMをそれぞれ6つのタイプに分け、合計12タイプの「取扱説明書」として、特徴・行動パターン・付き合いかたなどを書いている。タイプ名は以下のようになる。

コンビニ系Mタイプ(利用されまくりの便利屋)
シンデレラ系Mタイプ(どんな仕打ちにも耐える)
パチモン系Mタイプ(Sブランドと見せかけてM)
ボランティア系Mタイプ(世のため、人のために)
舎弟系Mタイプ(下克上なんてもってのほか)
透明人間系Mタイプ(存在感ゼロで完全放置の刑)
サービス過剰系Sタイプ(小さな親切、大きなお世話)
ハリケーン系Sタイプ(闘争心むきだしの破壊魔)
ポリス系Sタイプ(正義の味方が弱いものいじめ)
マインドコントロール系Sタイプ(巧みな話術で責めまくり)
リバーシブル系Sタイプ(S&Mスイッチが自由自在)
体育会系Sタイプ(熱血漢のオレ様主義)

(ちなみに、私はこの診断結果で言えばコンビニ系Mタイプであるらしい。)

また『SとMの恋愛法則』(ひめまる・文芸社)では、SMそれぞれ4つ、合計8つのタイプに分けている。

こういったタイプ分けにありがちだが、「人間をたった2つに(たった4つに、たった12に・・・などなど)分けることはできない」という批判はある。そりゃあまぁ、そうだろう。

「そういう分け方もあるのかぁ」程度に楽しむのがいいと思う。

お茶の間や合コンの場などで話題になる「SM」は、社会的なSMの話をしていることがほとんどだ。「SかMか」の話題は、何故か盛り上がる。私の数少ない合コン経験から言うと、合コンの場では必ず盛り上がる。

タイプ分けの話は、人の内面に焦点を当てるので楽しい。みんな「自分」に興味があり、「人」に興味があるから面白いのだ。血液型の話でもいいのかもしれないが、たまに本気でB型をイヤがる人がいて困ったもんである。その点、SMなら「私はSとはつき合わないことにしている」なんて人はいまい(少なくとも社会的には)。
さらに、もともと性的嗜好の言葉だから、カジュアルにエロい話ができるというのもいい点である。そんなわけで、「SかMか」の話題をふりたがる人が多い。

みんなで「SかMか」楽しめればいいのだが、なかには楽しめない人もいる。マジメに考えすぎて、場を白けさせてしまったり、そもそも「そんなくだらない話題がイヤだ」という場合もある。

インターネット検索をしていると、「SかMかの話題になったとき、どうきりかえしたらいいのか教えてほしい」「よくSかMか聞かれるが、自分はどっちなのかわからない。どうしたらいいのか」など質問の投稿があり、この話題に関して悩んでいる人が多いことがわかった。

そこで、「SかMか」の話題になったときに、何と答えたらいいのか、考えてみたい。

<「SかMか」と聞かれたら、どう答えればいいのか。>

(1)「Lです」
無論、サイズの話である。これを言っていいのは、実際に体格のいい人だけだ。私のように小さい人が言うと、まったく面白くない。石ちゃん(ホンジャマカ)のような人が言うと、なごむ。

(2)「それは夜の話ですか」
女性におすすめ。社会的な顔と夜の顔は違う、という前提に立って言っているのである。ポイントは、とぼけ気味に言うことだ。「社会的な顔を前面に出しながら、夜の要素も暗に匂わせたのに、何でそういうこと言っちゃうんだよー」的な盛り上がりが期待できる。杉本彩のようにセックスアピールの強い人が言っても盛り上がるが、私のような(?)清純派の女性が言っても盛り上がる。

(3)「ドSです」
ドMでもいいが、「ド」をつけて言い切ってしまう方法。そこまで言い切られると、笑えてくる。実際には、どっちでもいいのである。「ドSとか言ってたのに、全然厳しいこと言わないじゃん、うそつきー」とかって盛り上がればよい。だいたい、SかMか聞いてくるほうも、本当にどっちか知りたいなんて思っていない。

(4)「Nです」
ノーマルのNのことだ。「そんな話題、くだらねぇんだよ」と言いたいときに、涼しい顔でこう言えばいいだろう。それでも問い詰められたら、「相手によります」「使い分けます」などときりかえせばよい。

(5)「診断方法を知っていますので、やってみましょう」
繰り返しになるが、多くの場合は、本当に相手がSかMか知りたいと思って質問しているわけではない。その場にいる全員のSMを診断するゲームをしましょうと提案すれば、まず間違いなくのるだろう。ゲームによる結果は、まったく当てにならないが、とりあえず盛り上がって満足できる。
以下に、私が知っている「SM診断ゲーム」を紹介するので、使ってみてほしい。

両手を握ってください
その場にいる全員に、「目を閉じてください」と言う。

「目を閉じたまま、両手を握ってください」と言う。

「目を開けてください」

別々に握っているのがS、祈るように握っているのがM
SM診断1










爪を見せてください
「手の甲を見せてください」と言う。

「次に、手のひらを見せてください」と言う。

「爪を見せてください」と言う。

指先を折って爪を見せるのがS、手をひっくりかえすのがM

SM診断2










あごをのせてください
手をグーにして縦にし、さしだす。

「この上にあごをのせてみてください」と言う。

目を合わせながらあごをのせる人がS、目を伏せながらあごをのせる人がM
SM診断3











ちなみに、友人に「あごをのせてください」をやったとき、その友人は目を合わせたままあごをのせただけでなく、舌を長く伸ばして私の手を舐めたのでビックリして飛び上がったことがある。S的いたずらっ子ということだろうか・・・。

いかがだっただろうか。
「SかMか」白黒つけられない人がほとんどなのに、この話題を振られることが多いことに対する解決策(?)を提示してきた。
それでも悩んでしまう人には、団鬼六氏の『SかMか』をおすすめする。

「知らない世界」のことを知るうちに、「悩んでもしょうがないか〜」みたいな気になってくるはずだ。
(実際、私がそうである。)



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