読書術の本もたくさん出ていますよね。

私は「読書と人」にとても興味があるので、こういう類の本も大好きです。

「へー、この人はこんな読み方するんだー」「こんな選び方をするんだー」というのが楽しい。

本には線をひいて、ときには破って使い倒せ!という人がいれば、
本に線を引くなんてありえない、大事に扱え!という人もいる。

目的を持って読め!という人がいれば、
目的なく読むのが読書だ!という人もいる。

「読み方」にも、その「人」があらわれる気がするんですよね。


数ある読書術の本の中でも、「人生を豊かにする読み方」を教えてくれる、とても面白い3冊をご紹介します。

著者はハンパない読書家です。ちまちましたセコイ読み方しません。そして、それぞれに個性的です。

ぜひ読んでほしい!



1.『空気を読むな、本を読め。』
(小飼弾 イースト・プレス)

空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法 (East Press Business)
空気を読むな、本を読め。 小飼弾の頭が強くなる読書法 (East Press Business)
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人気書評ブロガー小飼弾氏の「頭が強くなる読書法」です。

小飼氏は子供の頃、図書館で本を借りては読みまくっていたそうで、

読んだ本が1日に50冊を切ると、「ああ今日は本を読まなかった」という感覚になったものです。(p.49)



どんだけ!!

私も本の虫でしたが、到底かないません。

小飼氏は、興味のあるものから手あたり次第に読めばいいと言います。

ある本を読んだら、その参考文献になっている本、引用されている本、ネタになっている本をたどって読む。
1冊の本の中にも、「リンク」がたくさんあるはずなんですね。リンクをたどる、ネットサーフィンならぬ「ブックサーフィン」です。

こういった、リンクがない本は「クソ本」だそうです。

「クソ本」なんてお下品な・・・、いえ、この思い切りが好き。

本書の目次を見ると、小見出しの中だけでも「クソ本」が3回も出てきます(笑)。

「エロ本」にいたっては、第6章がまるごと「エロ本」についての章です(笑)。

「キャッチコピーはエロ本にまかせろ」
「官能小説で養う『創造力』」・・・、
とっても勉強になりました。

こんな切れ味鋭い(?)本書ですが、私が大好きなのは「本棚は下着よりもセクシー!?」というフレーズ。

他人に本棚を見せるのは、とても恥ずかしいという話です。本棚には、その人があらわれてしまいますからね。知性も人間性も!

なるほど「セクシー」か。いい表現です。

ちなみに私は、本を読まない男性には色気を感じません!


小飼弾氏のブログ 404 Blog Not Found


2.『頭がよくなるスーパー読書術』
(出口汪 青春出版社)

出口汪の頭がよくなるスーパー読書術―論理力、考える力、発想力が誰でも身につく!
出口汪の頭がよくなるスーパー読書術―論理力、考える力、発想力が誰でも身につく!
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「現代文のカリスマ」出口汪先生の読書術。

出口先生と言えば、私も大学受験のときに大変お世話になりました。
東進ハイスクールと、確かラジオで現代文の講義をやっていました。
もう15年以上前になるのかしら・・・(汗)、当時から人気講師でしたね。

さて、本書では「頭がよくなる読書術」を解説しています。

「人生が豊かになる読書術」と言い換えられます。

読書によって、思考力を鍛え、豊かな感性を身につける。言語を使いこなすことで、世界を広げていく。そんな読み方です。

いかに必要な情報をひろうかとか、いかに実践するか・・・といったセコイ読み方(失礼)ではないところがいいですね。

キモは「論理的に読む」ということです。

とばし読み的な速読をしなくたって、論理的に読むことができれば、速く読めると言います。

まとまった文章には、必ず筆者が伝えたいことがあります。「命題」です。命題は論証する必要があります。だから、具体例・エピソード・引用、比喩を使って論証していきます。
あるいは、対立命題を持ちだして、それを否定したり、弁証法で高い地点で統一したりします。

こういった構造を意識しながら、論理に沿って読むようにすればいいのです。
人に説明できるように意識しながら読むと、自分の血肉になる読書ができます。

文学を読む場合も、論理を追う読み方は大事です。

さらに、作品世界を正確に把握するため、時代や文化などの背景を頭に置いて読むことが必要になります。

出口先生は森鴎外を研究してきたそうで、森鴎外『舞姫』の読み方が例に挙げられており、面白かったです。

女子高生の感想で、「エリスは女の恥」というのが多いそうなんですね。「私だったら出世のために自分を棄てるような男は選ばない!」と。

人それぞれ、いろいろな感想があり、いろいろな読み方があるけれど、

作品世界を正確に理解しないところで、どんな読み方をしても、結局は誤読にほかならない(p.147)


時代背景を理解せずに、「いまの自分」にひきつけて読んでいるだけでは「誤読」だとバッサリ。

ドキっとしますね。


ちなみに・・・、大学受験の頃、現代文の問題を解くのが好きでした。いえ、解くのが好きというより、テーマのある文章に出会うのが好きでした。面白い評論をたくさん読んだ気がします。

短い文章を深く読み込む体験って、ある種贅沢なものですよね。
なんだか現代文の問題集がほしくなってきました。




3.『本は10冊同時に読め!』
(成毛眞 三笠書房)

本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 (知的生きかた文庫)
本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 (知的生きかた文庫)
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元マイクロソフト社長の成毛眞氏が提唱するのは、「超並列読書術」。

リビング、通勤時、会社、トイレ、寝室・・・と、場所ごとに読む本を用意しておき、1日に何冊も同時並行的に読むという読書術です。

1冊ずつ読みとおすのではなく、10冊くらい同時に読む。
しかも、ジャンルをバラバラにすると、脳のあらゆる部分が刺激されて、新しいアイデアが出るというのです。

たとえば歴史物のノンフィクションと夫婦生活をテーマにしたエッセイ、北欧家具の写真なんかを同時に読みます。バラバラだし、仕事に直接関係ない本ばかり。これが逆にいいというわけです。

超並列読書術は、短い時間にその本の趣旨をつかもうとするので、集中力も高まります。
読んでいる本の中で、常にどれかがクライマックスを迎えているような状態になれば、読書に飽きることもありません。

成毛氏はこの読み方を「速く・深く・多く」読める一石三鳥の読書術、と言っています。
特別なテクニックも訓練も必要なく、単に10冊を同時並行して読むだけ。今すぐできて、かなり効果が大きそうな感じがします。

私も常に10冊くらいは同時並行で読んでいますが、ジャンルに偏りがあります。ベストセラー小説、エッセイ、文章術、広告の本、ビジネス新書、名言集・・・といった感じ。
ついつい、「仕事に必要な本」を選んでしまうのも、成毛氏の読書術とは違うところです。もっともっと、さまざまな分野の本を入れていきたいと思いました。


ところで、ビジネス界きっての読書家と言われている成毛氏ですが、小説はほとんど読まないそうで。
「文学作品は読む価値がない」と言っているのは、面白かったですね。立場が違えば、こうも言うことが違うのかと。

夏目漱石の『吾輩は猫である』、梶井基次郎の『檸檬』、田山花袋の『蒲団』を読んだところで、何をどう感じるというのだろうか。本を積み上げた上に檸檬を置いて、その黄金色の爆弾が爆発したら面白いだろうといわれても、「はあ……」という感想しか持てない。(p.161)



いやいや、よくそんなに堂々と・・・(汗)。

確かに、「名作」と言われているものを読んで、感動しなければいけないわけではありません。成毛氏は、面白いものと感じるものを読め、と言いたいのです。

「読書家」「本好き」にもいろいろなタイプがいるものですね。


それからもう一つだけ。
成毛氏が参考にしているという書評家をご紹介しておきます。

松岡正剛 「千夜千冊」
森山和道 「サイエンスライター森山和道」
福田和也

の3人でした。





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