夢広がる印税の話をしましたが、今日は厳しい現実の話を。


まず、ライター本人が著者として本を書く場合には、前回お話ししたような印税の計算でいいわけです。

一冊あたりの金額×印税率×部数

ですね。


でも、他に著者がいる場合は、当然分けるかたちになります。

著者とライターで半分ずつ分けるか、力関係によって割合が変わります。

著者が6〜7割という場合も、逆にライターが6〜7割という場合もあります。

「ぼくは印税はいらないよ」という、懐深ーい著者さんもいるので、そういう場合はライターが100%ですが。

私は両者で分けるかたちが一番いいかと思います。責任が発生するものには、やはりお金が発生したほうがいいし、お互い売る気になるからです。


では、1500円の本で印税10%を半々で分けるとしてみましょう。

1万部刷れば、ライターの取り分は75万ですね。


しかし。問題はここからです。

出版社によって支払い方法が異なります。

大きく分けると、次のようになります。


(1)初版部数の印税をすぐ振込み

(2)最低保証分だけすぐに振込むが、実売部数を計算して6ヶ月後に精算

(3)完全実売部数にて計算。振込みは6ヶ月先



刷った分だけ振り込んでもらえるとは限らないんですね。


1万部刷ったけど実際は5000部しか売れなかった・・・という場合、実売部数で支払う出版社だったら、

1500円×5%(ライター印税)×5000部=375,000円

になっちゃいます。しかも半年後って・・・。もはやこれはビジネスにはなりません。


だから、「最低保証」をつけている出版社が多いです。

たとえば、最低保証3000部としている出版社だったら、本が出てすぐに3000部分だけ支払いがあります。

1500円×5%(ライター印税)×3000部=225,000円

実売部数が分かるのは、ザックリ半年後くらいになります。

「5000部売れましたので、375,000円からすでに支払った225,000円を引いて、150,000円振り込みますね」という連絡が来るのです。



今のところ完全実売部数の出版社さんにはお目にかかっていないけれど、「最低保証つき実売部数」はけっこう多いです。


詳細は省きますが、「正確に何冊売れたのか」というのは、書店に並べ始めて半年経たないとわからないので、かつ、出版社にお金が入ってくること自体が半年先なので、印税も半年先になるわけです。



この資金繰りの悪さ!


つづく。


注)でも、絶版になったりしなければ、それ以降も半年ごとに売れた分の印税が入ってきますよ。







<追記 2016年2月2日>
「ライターはいくら稼げるのか」シリーズが電子書籍になりました!
大幅に加筆修正し、さらにコンテンツを追加(ボリューム的には3倍くらい)してまとめています。