リッツ・カールトン たった一言からはじまる「信頼」の物語 [単行本(ソフトカバー)]
憧れのリッツ・カールトン。
昨年、スイートルームからユーストリーム配信しましたっけ。
前日本支社長で人とホスピタリティ研究所所長の高野登さんの本をご献本いただきました。ありがとうございます。
本書のキーワードは「信頼」です。
信頼とは、「能力」×「人間としての力」で決まるということを、スティーブン・R・コヴィー氏は『7つの習慣』の中で言っています。
スキルが高くても、人間性が低ければ信頼されない。逆も然りです。
信頼と似た言葉に「信用」がありますが、信用は「信じて用いる」と書きます。単純に、ミスがないから大丈夫という程度では、信頼にはならないのですね。
この信用と信頼の違いは「サービス」と「ホスピタリティ」の違いに置き換えることもできると高野氏は言います。
リッツ・カールトンと言えば、ホスピタリティ。従業員に裁量があって、お客様のために自分の裁量で感動を生むサービスを作りだしている話は有名ですよね。伝説がたくさんあります。
「サービス」は、言われたことをきちんとやること。期待通り、提供すべきものを提供することです。
対して「ホスピタリティ」は、一人ひとりのお客様に自分の気持ちを寄り添えたときに、自然と導き出される「おもてなし」だそうです。
相手が望むものを考え、行動するのです。
これはサービス業でなくても、常に必要なことですよね。これぞ、「楽しい仕事!」という感じがします。
言われたこと、期待されていることをそのとおりにやるだけでは面白くないですもん。
だけど、ものすごく忙しかったりすると、相手が望むものを考えて、先まわりして行動して・・・っていうことができないのはよくわかります。世の中には、「本当はそういう仕事の仕方がしたい。でも、そんな余裕がない」と思っている人が多いのではないかしら。
という話を、ユーストリーム番組「イカスヒトTV in リッツ・カールトン」でしたのでした(残念ながらアーカイブが残っていません。でもこの日は視聴数が2,000近くありました)。
*イカスヒトTVのチャンネルはこちら
http://www.ustream.tv/channel/ikasuhito
さて、本書の中にはいろいろなエピソードが載っていますが、印象に残っているのは、アメリカのデパートでの話です。
高野氏が奥さんとともに、クリスマスセール中のデパートに行ったときのこと。
奥さんが気にいったコートは、少しサイズが大きかったのですが、「日本に帰ってから袖丈を直せば大丈夫」とか「下にセーターやジャケットを着るからいいか」と自分たちを納得させながらレジに並びました。
会計する段になって、レジ係の女性が「これはあなたには大きすぎます」と言います。
「大きいのはわかっていますが、Sサイズがないようなのでこれで構いません。」
でも、レジ係の女性は首を縦に振りません。
近くにいた同僚に倉庫を探させました。
セール中でただでさえ忙しいのに、倉庫から2着のコートを持ってきたのです。1着は選んだコートのSサイズ。もう1着はSサイズの色違いでした。
その色違いのコートが気に入り、その代金を払ったとき、レジ係の女性は「これで私はあなたから堂々とお金をいただけるわ」と満面の笑顔で言ったそうです。
ニューヨークのレジ係の女性は、お客様に満足していただけるかどうかを考えるだけでなく、自分が納得できるかどうかも追及していました。おそらく彼女は、プロの仕事人として、いい加減な仕事をする自分を許せなかったのでしょう。
自分への厳しさを持つ。それはプロとして信頼のある仕事をしていくうえで不可欠な資質と言えます。
「プロフェッショナルとは」ということを、考えさせてくれるエピソードです。
「お客様がいいって言っているから」と自分を納得させるようなことをしていないか?
「まぁ、いいか」と諦めていないか?
自分に問いました。
「忙しいから、そんな余裕がない」なんて、プロフェッショナルは言い訳しませんよね。
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