データ復旧いつやるの?今でしょ!

ハードディスクを持って日本データテクノロジーに来てからかれこれ2時間半が経った頃。

担当の方が見積書を作成して持ってきてくれました。


*前回までの記事はこちら。


ハードディスクが壊れたのでデータ復旧実績ナンバーワンの「日本データテクノロジー」に持ち込んで復旧を依頼してみた(前編)

ハードディスクが壊れたのでデータ復旧実績ナンバーワンの「日本データテクノロジー」に持ち込んで復旧を依頼してみた(中編)



ご、ごじゅうろくまんえん・・・。


56万円です。(正確な金額ではありません。以下、数字はだいたいそのくらいということで)


「3日後にデータをお渡しできるという納期での見積もりです。復旧できなかったデータがあった場合、最大15万円の幅で金額が下がります。56万円以上になることはありませんので、ご安心ください。


シーン。


むりむりむり。



「・・・もっと時間がかかってもかまわないという場合は、」

もう1枚の見積書を出されました。

「こちらの金額になります。」


37万円。

5日後でよければ37万円。


「ただ、時間をおくほどに復旧率はどうしても低くなります。できるだけ早くに復旧作業に入ることをおすすめします。」

見積もり


実際、大学や企業の研究データとか顧客リストなんかが入っていた場合、すぐにでも復旧できないと困るでしょうね。50万円程度でデータが戻ってくるなら、安いもんなのかもしれません。
ここにハードディスクを持ち込む人は、切迫した状況の人が多いのだろうなと想像しました。いつ復旧させるの?今でしょ!!という。

でも、私のハードディスクはそれほどたいしたデータが入っていないのです・・・ごめんなさい。

「せっかく診断していただいたのですが、そこまでの価値があるデータではないんです」と私。

入っている主なデータは過去の仕事原稿です。
いま必要なデータはある程度バックアップをとってあります。

現在進めている書籍原稿も、最新のデータが消えてしまうけれど、一つ前のものはドロップボックスに入っているので、一部やりなおせばいいのです(ショックはショックだけど)。

やりなおす時間・労力と、データ復旧のコストをてんびんにかけて・・・、20万円以上支払う価値はないと判断しました。


「20万円以下ならと思っていましたが、この金額ですと合いませんので」と言うと、

「なるほど。・・・でも、せっかくお越しいただきましたので・・・。データ復旧は、時間がかかってもかまいませんか?いつまでに欲しいということはありませんか?」

「はい。とくに急ぎのものはありません。」

「それでは、技術者があいた時間に作業することにして、納期を2週間後に設定して再見積もりしてみますので少々お待ちください。」

はぁ・・・。でも、もういいです、諦めます・・・。過去のデータはもういい、再スタートの気分でやればいいんですから・・・。
ショックだけど・・・。


しかし、すぐにまた担当者がやってきて、再見積もり出ました。


17万円。


そ、そんなに下がるんですか・・・?

ポカーン。




データ復旧を依頼する人は、ほとんどの場合「今すぐ」復旧を希望しているでしょうから、スピード料金上乗せがデフォルトになっていますが、もともとはこっちの金額ということなんでしょう。きっとそうなんでしょう。

いったん諦めかけた私でしたが、「17万円なら、お願いします!」ということで発注書にサインをしたのでした。



やっぱりムリでした

そして、3日後。

驚くべきことが起こりました。

フリーダイヤルからの着信があり、折り返してみると件の日本データテクノロジー様です。

はじめてお話しする女性の方が、だいたいこのようなことを言いました。

「小川様のハードディスクを、クリーンルームにて開けて確認したところ、ディスクにキズがついていることがわかりました。ということで、データの復旧ができませんでしたので、ハードディスクをお返しします。着払いでお送りしますのでよろしくお願いします。このたびはお役にたてず申し訳ありませんでした。」




・・・は?


いま、なんとおっしゃいました??





「す、すべてのデータが復旧できないということですか?」

「はい、一部にキズがついていても、その部分のデータだけ取り出せないというわけではないのです。たとえば、ある画像が入っていたとして、その画像はディスク内の数カ所に分散して保存されており、すべてそろってはじめて読み取ることができるのです。ですから、一部のキズでもすべてのデータに影響してしまうのです。」
(意識がもうろうとしていたので、詳しく覚えていませんが、だいたいこのような話でした)

「でも、でも・・・!先日伺ったときには、復旧できるというお話だったんですが!開けてみたらやっぱりダメだったということですか?」

「そのような疑問はごもっともです。ハードディスクを開けるには、クリーンルームというチリ一つ入らない場所で注意深く行う必要があります。初期診断では開けることができないのでディスクにキズがついていることまではわかりませんでした。このたびはお役にたてず申し訳ありませんでした。料金は一切いただきませんので。」
(同じく、正確ではないかと思うのですがだいたいこのような話でした・・・)



えええー!

あの「ご安心ください」は何だったんですかー!




しばし、茫然自失状態。



いったい、いったい、あのやりとりは・・・、工場見学は・・・、個室で過ごした約2時間は・・・、

たいしたデータじゃないことがわかって、技術者のテンション下がっちゃったのだろうか、いや、まさかそんなねぇ、データはデータだよ・・・

なぜだ、なぜなんだ・・・

考えてもしょうがないか・・・

・・・

・・・

よし、わかった。

ネタにしたれー!!!



ということで、意外と長くなったこの記事ができました(笑)。

意識もうろう


教訓。
 ↓

データ復旧は、簡単ではありません。プロでもどうにもならないことがあります。いくらデータ復旧実績ナンバーワンでも、教育の行き届いた礼儀正しい技術者でも、チリ一つ入らないクリーンルームがあっても、期間やお金に余裕があっても、ダメなものはダメです。大切なデータを守るのは自分です!やばいことになる前に対策を考えておきましょう。

ハードディスクの調子が悪かったら、再起動してはいけません。再起動によってキズがつくなど悪くなるおそれがあります。触らず、すぐにプロの診断を受けるようにしましょう。また、経年劣化で部品が壊れるのはよくあることなので、くどいようですがバックアップをとるなどしておきましょう。



今回ワタクシ大変勉強になりました。
よい経験をさせていただき、ありがとうございました。日本データテクノロジーさんは、悪いわけではないと思いますよ(なんかモヤモヤするが)、うん。

この記事がどなたかのお役にたったら幸いです!!

お読みいただきありがとうございました☆