今朝、たまたま読売新聞を読んでいて見つけた「第63回 全国小・中学校作文コンクール」の文部科学大臣賞受賞作品3点。

中学校部門 「過去と未来、そして現在」 名古屋大付属中3年 加藤 敦也
小学校高学年部門 「学ぶこと、そして伝えること」 東京・啓明学園初等学校6年 関 慶志
小学校低学年部門 「ゆうだち」 奈良・奈良学園小1年 細川 李果



どれも素晴らしくって感動したんですが、特に小学校高学年の関くんの「学ぶこと、そして伝えること」を読んで思わず涙。
ネパールの小学校での事件から感じたことを、みずみずしく書いている作品です。

すごく良かったので、私の友達にも紹介したくって、ネット上に全文が載っていないかどうか探しました。でも、ないみたい。だから入力しちゃいました。
今日の読売新聞朝刊で紹介されたあとは、来年3月頃に作品集が販売されるようです。

作文コンクールの概要

この作文コンクールは枚数自由とのことなので、新聞に載っていたものは全文ではないかもしれません。余白は私のほうで適宜入れさせていただきました。



学ぶこと、そして伝えること

東京・啓明学園初等学校6年 関 慶志

 一学期の最終日のことだ。通知表が配られて間もなく、にぎやかだった教室が急に静まりかえった。
「何か大変なことが書いてあるにちがいない。」
僕はネパール語をすらすらと読むことができず、いらいらした。

 僕は父の仕事の都合で三月までネパールの小さな町に暮らした。通った学校は、家庭が貧しくて学校に行けない子供たちを救うために、外国の方が作った学校だ。全寮制で学費、生活費はすべて無料。しかし、
「来年度から学費、一ヶ月三千ルピー(約三千円)。支払えない生徒は退学とする。」
通知表にこう書かれていた。僕はそれを聞いておどろき、皆と一緒に落ち込んだ。

 翌日からは一カ月の秋休み。仲良しのアヌの実家にホームステイした。アヌの村の標高は三千五百メートル。家は縄文時代の竪穴式住居に似ている。電気もガスも無く、木の枝に火をつけて料理をする。
 家族は毎日農作業をしている。それは自分たちが食べるものを作っているだけだ。だからお金は無い。アヌは学校をやめることになってしまった。家族には彼を育てるお金も残っていないので、親せきの家で働かされることになった。泣いているアヌに何も言ってあげることができなかった。

 村から二時間ぐらい登ると、ヒマラヤ山脈が間近に見える絶景ポイントがある。アヌと過ごす最後の日。明け方に山を登り始めた。想像していたよりもずっと急な坂道だった。
 目の前に巨大なヒマラヤ山脈が現れた。あまりの大きさと美しさに、声を無くした。アヌたちも感動したようで大騒ぎ。突然僕の目に涙があふれ、止まらなくなってしまった。体が痛いからでも、ヒマラヤの美しさに感動したからでもない。苦しい状況のなのに、大声で笑っているアヌの心の悲しみが見えた時、僕はつらくて気持ちを抑えることができなくなっていた。

 親友であるアヌが向き合っている現実を見ることにより、貧困がどれほど深刻な問題か、初めて本気で考えることができるようになった。お金が無いから必要最低限の教育も受けることができず、労働をさせられ、悪い大人に売られる子どももいる。これは、ネパールに限らず世界中の貧しい国々で起こっていることなのだそうだ。
 この残こくな現実にどう向き合えばいいのか、日本に帰国してから考え続け、次の二つのことに取り組むことを決めた。

 一つは、しっかりと勉強して知識をつけることだ。アヌや彼の家族のような人々を助けたくても、今の僕にはどうしようもない。だから、まずしっかり勉強して貧しい人々を助けられる方法を見つけたい。二つ目は、僕がネパールで見てきた事実を人々に伝えていくことだ。

 ネパールに暮らす友だちも、日本に暮らす僕や学校の友だちもみんな幸せな生活を送れるような世界ができたらいい。そんな世界を作るために、みんなと力を合わせて頑張っていきたい。

(指導=綿引啓友教諭)


「選評」にもありましたが、通知表の事件から始まっているところがいいですね。最初から惹きつけられます。
学費が払えないと即退学になってしまうなんて・・・。
「僕はそれを聞いておどろき、皆と一緒に落ち込んだ」という一文によって、関くんの人物像が伝わってくるような気がしました。

そして、親友アヌの話。
アヌの家の様子が静かに語られます。アヌという固有名詞が出てきたことで、静かな中にもぐっと親しみが湧くような感じがします。

アヌと過ごす最後の日の描写がクライマックスです。ここがめちゃくちゃ良くて、泣きました。
目の前に現れた巨大なヒマラヤ山脈。
言葉をなくし、突然涙があふれだす関くんと、笑っているアヌ・・・。
この情景が思い浮かんで、ものすごく感動してしまいました。

関くんの涙の理由は、アヌの悲しさに共感したことです。
笑っているアヌの、心の奥にある悲しさに・・・。

なんて感性豊か、表現力豊かなんでしょう。

小学生でこんなすごい文章が書けるなんて、いやー、脱帽です。
小学4年生からブログを書き始め、ブログで文章力を鍛えているそうで。


しかも!

めちゃくちゃかわいい。俳優さんみたい。
 ↓



関くんのブログはこちら。

Happy Life with Keishi


こんなあたたかく感動的な気分にさせてもらって、感謝です。

私もがんばろ。