96歳の祖母は、ご近所に羨ましがられるくらい元気だ。
今も自分で食事を作るし、買い物にも歩いて行く。
頭もしっかりしていて、最近の芸能人の話なんかもする。

本当にすごいなあと、いつも思うのだけど、これも努力の賜物で。

喘息持ちの祖母は、昔は体が弱かった。入院することもよくあり、自分の娘(私の母)の結婚式にも出席できなかった。

これではダメだと思って始めたのが、「静坐」だ。

よく、せいざせいざと言っているのを聞いて、「正座」かと思っていたが、齋藤孝先生の『坐る力』を読んで、そういうことかとようやく理解した。

静かに座って呼吸をする。その坐法が、日本の伝統的な正座だというだけで、瞑想(あるいは坐禅)の一種なのだ。

『坐る力』によると、静坐法は明治44年頃から岡田虎二郎という人が「岡田式呼吸静坐法」として「実業之日本」誌上で連載をはじめ、一世を風靡したらしい。

皇族・軍人・政治家などの名士から、庶民にいたるまで、岡田の思想に帰依する者は1万人を超えた。

目的は「心の平和を得る」ためだ。


祖母は毎週、静坐を習いに行っている。もう何十年も。とても立派な先生で、自宅で無償で教えていらっしゃる。そこにはたくさんの、大企業の経営者なんかも来てるらしい。

祖母は、習い始めて最初の一年は姿勢を直されたそうだ。そのくらい、姿勢が大切らしい。「腰を立てる」ことが重要視される。

そして、長くゆっくりした呼吸をする。

このおかげで、祖母は健康になった。いまだ入れ歯のお世話にもならない。耳もよく聞こえるし、背筋も伸びている。
老人会でも病院でも、褒められるという。


私は正座なんて足がすぐにしびれてしまって無理だが・・・

お正月に会ったら、また詳しく聞いてみようと思う。



坐る力 (文春新書)
齋藤 孝
文藝春秋
2009-01