ああ〜いいなぁ〜

ページをめくると、巻頭カラーに南房総の自然と築100年以上の家の和室。子供たちと一緒に囲むごはんや、ご近所の方に教えてもらって作った畑、サツマイモ。

「週末は田舎暮らし」という生活に、馬場未織さんにすごく憧れてしまいます。

私も、田舎がない東京人です。祖父母もみんな東京で、東京以外に住んだことがありません。
著者の馬場未織さんは、東京生まれの東京育ち。

3人の子供を育てながら建築ライターをしており、平日はガッツリ働くママですから、自然の中で暮らすことに憧れても簡単に移住することはできません。

それでも、自然大好きなご主人やお子さんに後押しされて、実現しちゃったのが東京と南房総の二地域居住生活です。平日は東京で仕事をし、金曜日の夜に車で移動、土日は南房総で暮らすというデュアルライフ。

二つの地域に暮らせば、それだけコストもかかるし、それぞれの地域での責任も生まれるし、実際とても大変だと思います。

都市農村交流のためにさまざまな活動をしたり、親と子が一緒に里山で自然体験学習をする「里山学校」を手掛けたりしている馬場さんも、気軽にはこの生活をおすすめすることはできないと言っています。

土地の人たちと助け合い、地域のためにできることを探し、刈っても刈ってもはえてくる草を刈り、イノシシに悩まされ。

もちろん、東京での暮らしもあります。
週末は家族みんなで南房総に移動というのも、予定を合わせるのが難しいときだってある。

とても「都会と田舎のいいとこどり」みたいな優雅な話ではありません。

でもでも、そんな大変さをはるかに超える、豊かで楽しい暮らし・生き方がそこにはあるんですね。

子どもたちと一緒に野菜を育て、新鮮な野菜を味わう楽しみ。里山の環境を壊さないためにせっせと草刈りをして、美しい自然の景色を保っている充実感。たくましく生きる村の人達との交流。

同時に、馬場さんは東京の良さも感じています。

都市には、興奮状態や緊張状態といった加圧の働きだけではなく、ある種の「緩み」をもたらす環境がある。その緩みは、「水は低い方に流れる」的なラクチンさであり、世界を人間に限定して考えることのできるラクチンさでもあると思います。

都市生活には、自然の脅威から守られている環境の安らぎがある。文明というのはこの安らぎを求めて発達してきたのでしょうから、その意義の大きさは計り知れないものです。


そうなのだろうなぁ。

私も東京の気楽さが好きだし、自分が自然と対峙したときにはたしてやっていけるのかと思うと自信はない。

でも、だからこそ、東京生まれ東京育ちの馬場さんが楽しくたくましく里山での暮らしを綴っているのを見て、心から素敵だなと思いました。

私もいつか・・・と妄想しちゃいます。
土のにおい。命が凝縮されたようなにおい。
自然と動物と共生しながら生きるときに感じる、自分の小ささ。そして自然の一部であること・・・
たくさんのことを感じられるのでしょう。

飾らない文章で、南房総への愛や自然に対する感動がいきいきと書かれていて、どきどきしながら読みました。



二地域居住生活や田舎暮らしに興味のある人に超オススメの本です!




馬場未織さん関連サイト

NPO法人南房総リパブリック

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