木暮太一さんの新刊、読みました。
いや〜ホントわかりやすいですね!!!
帯に「教養として知っておきたい 最重要経済書」とありますけど、そのとおりですね。資本論ってよくわからん・・・っていう人は、まずこの本を読むといいのでは。
『資本論』というのは、ドイツの思想家・経済学者カール・マルクスが1867年〜1894年に著した書籍で、資本主義の生産様式や生成過程を明らかにしたもの。
いま、世界中でほとんどの人々が「資本主義社会」に生きていて、日本にいる私たちはモロにそうなわけですが、
そもそも資本主義ってどういうものだっけ?
という問いに答えるのはなかなか難しいのではないでしょうか。
たとえば、
●なぜペットボトルのジュースは150円なのか(商品の価格はどのように決められているのか)
●なぜ年収1000万円でも生活がカツカツなのか(労働者の給料はどのように決められているのか)
●なぜパソコンの値段は下がり続けるのか(企業が利益を上げようと努力するほど、利益が減っていくジレンマの正体)
これらにどう答えますか?
難しいですよね・・・
実はこれらはすべてマルクスが『資本論』の中で仕組みを解き明かしているんですね。
木暮さんはこう言います。
資本主義のルールについてわかりやすく解説しているのみならず、「そこから抜け出す方法」まで読みとっているのが本書のステキなところです。
先ほど挙げた問いに対する答えを、本書に沿って少しだけ解説しますと・・・
なぜペットボトルのジュースは150円なのか(商品の価格はどのように決められているのか)
まず、マルクスが主張しているのは「商品には”価値”と”使用価値”がある」ということです。
価値・・・商品をつくるための労力の大きさ
使用価値・・・それを使うメリット
この両方が必要です。
すぐそこにある美味しい湧水は、使用価値はあるけれど価値がないから商品になりません(山から麓に持って行くというような労力が発生すれば価値があると言える)。
私が長時間かけて作った芸術作品も、使用価値がないから商品になりません。
で、商品の値段を決めているのは「価値」のほうです。どれだけ労力がかかったかで値段が決まる。ただし、その労力は個別ではなく「社会一般的にかかる平均時間・平均労力」です。
それが基準となり、「使用価値」は需要と供給の法則を通じて影響します。
消費者にとって、よりメリットの高いものは値段も高くなるわけですね。でも、あくまで値段決めのベースは「価値」のほうです。
つまり、ペットボトルのジュースは「価値」によって150円と決まっていますが、使用価値が高いものはそれよりも高くなるわけです。
なぜ年収1000万円でも生活がカツカツなのか(労働者の給料はどのように決められているのか)
労働者の給料はどのように決められているのでしょうか?
労働力も「商品」です。
ペットボトルのジュースと同じ原理で値段が決まります。その「労働力をつくるのに必要な生産コスト」(体力・知力を保つために必要なコスト、生活のための衣服や住居費、ストレス発散のための娯楽費などなど)が「労働力の価値」となり、給料の額が決まるのです。
医者の給料が高いのは、医者になるために膨大な知識を身につけることが必要で、多くの経費がかかっているから。ストレスが多い仕事も、ストレス解消のための経費がかかりますから給料が高くなります。
この仕組みから考えれば、年収1000万円でもカツカツなのは当たり前です。
コスト分が払われているだけなのだから。
もちろん、ジュースの使用価値が高ければ値段が上がったように、労働力の使用価値が高ければ(=企業の利益をより多く上げてくれるなら)給料も高くなります。
ただ、これはたかだか5%程度。
基本的にサラリーマンの給料は「必要経費分」のみなのです。
なぜパソコンの値段は下がり続けるのか(企業が利益を上げようと努力するほど、利益が減っていくジレンマの正体)
資本主義経済では、各企業がより多くの利益を求めます。
企業が利益を出す仕組みはここでは省きますが、「特別剰余価値」というのが企業にとってコントロールができる剰余価値です。「特別剰余価値」とは、他社よりも生産性を高めることで生まれる利益のことです。
商品の値段は社会一般の平均による「価値」で決まるんでしたよね。
平均よりも生産性が高ければ、そこの差で利益を出せるのです。
だから、各企業は少しでも生産性を高めようといろいろ努力をします。すると、それが次第に普通になります。A社の生産性だけが高かったときはいいけれど、B社もC社も生産性が高くなり、結局社会一般の平均になります。
そして、価値が下がる。すなわち値段が下がります。
パソコンの値段がどんどん下がっていくのは、消費者が飽きたとか、使わなくなったということではなくて、生産性が上がった=時間や労力などのコストが下がったからなのです。
これは資本主義の運命なんですね。
ナルホド〜
すごく納得、スッキリしました。(簡単に説明してみましたが、詳しく知りたい人はぜひこの『超入門資本論』を読んでくださいね!)
ブラック企業にハマらないためにはどうしたらいいのか
さて、『資本論』の中では労働者が搾取され、虐げられていく状況が分析されています。
資本主義の構造上、労働者が搾取されるのは必然(企業は労働者に給料以上働いてもらって、利益を上げるしかない)なのですが、「では、この先の資本主義経済を生き抜くにはどうしたらいいのか?」ということが本書の最後に書かれていました。
たとえば、巷でよく聞く「ブラック企業」にハマらないためにどうしたらいいのか。
木暮さんは、ブラック企業が労働者に対して高圧的に接することができるのは、「その労働者が辞めることができないから」だと言います。
マルクスは労働者が労働者になるための条件を「二重の自由」という言葉で表現していますが、これを簡単に現代風にアレンジすると、「生産手段がなく、自分では商品を生産できないと労働者になる」。
ブラック企業では、他にお金を稼ぐ手段がないから、
社員が「じゃ、辞めます」と言えば、ブラック企業も成り立たないわけで。
ブラック企業にハマらないためには、他にお金を稼げる手段を持ち、フリーランス・マインドでいつでも動けるようにしておくことが重要だと言っています。
ふむふむ。
資本主義のシステムをわかったうえで考えると、またちょっと違った視点が得られますね。
(このブログでは企業の利益の仕組みを省いたのですが、それがわかるともっともっと納得です!)
教養として学ぶだけでなく、自分の仕事・人生に役立つ『資本論』!
それをわかりやすく抽出してくれている『超入門資本論』、おすすめです
いま、世界中でほとんどの人々が「資本主義社会」に生きていて、日本にいる私たちはモロにそうなわけですが、
そもそも資本主義ってどういうものだっけ?
という問いに答えるのはなかなか難しいのではないでしょうか。
たとえば、
●なぜペットボトルのジュースは150円なのか(商品の価格はどのように決められているのか)
●なぜ年収1000万円でも生活がカツカツなのか(労働者の給料はどのように決められているのか)
●なぜパソコンの値段は下がり続けるのか(企業が利益を上げようと努力するほど、利益が減っていくジレンマの正体)
これらにどう答えますか?
難しいですよね・・・
実はこれらはすべてマルクスが『資本論』の中で仕組みを解き明かしているんですね。
木暮さんはこう言います。
『資本論』には、ぼくらが今生きている資本主義が、どんなルールで成り立っているかが書かれています。(中略)
そして、そこから抜け出す方法も読み取ることができます。
資本主義のルールについてわかりやすく解説しているのみならず、「そこから抜け出す方法」まで読みとっているのが本書のステキなところです。
先ほど挙げた問いに対する答えを、本書に沿って少しだけ解説しますと・・・

まず、マルクスが主張しているのは「商品には”価値”と”使用価値”がある」ということです。
価値・・・商品をつくるための労力の大きさ
使用価値・・・それを使うメリット
この両方が必要です。
すぐそこにある美味しい湧水は、使用価値はあるけれど価値がないから商品になりません(山から麓に持って行くというような労力が発生すれば価値があると言える)。
私が長時間かけて作った芸術作品も、使用価値がないから商品になりません。
で、商品の値段を決めているのは「価値」のほうです。どれだけ労力がかかったかで値段が決まる。ただし、その労力は個別ではなく「社会一般的にかかる平均時間・平均労力」です。
それが基準となり、「使用価値」は需要と供給の法則を通じて影響します。
消費者にとって、よりメリットの高いものは値段も高くなるわけですね。でも、あくまで値段決めのベースは「価値」のほうです。
つまり、ペットボトルのジュースは「価値」によって150円と決まっていますが、使用価値が高いものはそれよりも高くなるわけです。

労働者の給料はどのように決められているのでしょうか?
労働力も「商品」です。
ペットボトルのジュースと同じ原理で値段が決まります。その「労働力をつくるのに必要な生産コスト」(体力・知力を保つために必要なコスト、生活のための衣服や住居費、ストレス発散のための娯楽費などなど)が「労働力の価値」となり、給料の額が決まるのです。
医者の給料が高いのは、医者になるために膨大な知識を身につけることが必要で、多くの経費がかかっているから。ストレスが多い仕事も、ストレス解消のための経費がかかりますから給料が高くなります。
この仕組みから考えれば、年収1000万円でもカツカツなのは当たり前です。
コスト分が払われているだけなのだから。
もちろん、ジュースの使用価値が高ければ値段が上がったように、労働力の使用価値が高ければ(=企業の利益をより多く上げてくれるなら)給料も高くなります。
ただ、これはたかだか5%程度。
基本的にサラリーマンの給料は「必要経費分」のみなのです。

資本主義経済では、各企業がより多くの利益を求めます。
企業が利益を出す仕組みはここでは省きますが、「特別剰余価値」というのが企業にとってコントロールができる剰余価値です。「特別剰余価値」とは、他社よりも生産性を高めることで生まれる利益のことです。
商品の値段は社会一般の平均による「価値」で決まるんでしたよね。
平均よりも生産性が高ければ、そこの差で利益を出せるのです。
だから、各企業は少しでも生産性を高めようといろいろ努力をします。すると、それが次第に普通になります。A社の生産性だけが高かったときはいいけれど、B社もC社も生産性が高くなり、結局社会一般の平均になります。
そして、価値が下がる。すなわち値段が下がります。
パソコンの値段がどんどん下がっていくのは、消費者が飽きたとか、使わなくなったということではなくて、生産性が上がった=時間や労力などのコストが下がったからなのです。
これは資本主義の運命なんですね。
ナルホド〜
すごく納得、スッキリしました。(簡単に説明してみましたが、詳しく知りたい人はぜひこの『超入門資本論』を読んでくださいね!)

さて、『資本論』の中では労働者が搾取され、虐げられていく状況が分析されています。
資本主義の構造上、労働者が搾取されるのは必然(企業は労働者に給料以上働いてもらって、利益を上げるしかない)なのですが、「では、この先の資本主義経済を生き抜くにはどうしたらいいのか?」ということが本書の最後に書かれていました。
たとえば、巷でよく聞く「ブラック企業」にハマらないためにどうしたらいいのか。
木暮さんは、ブラック企業が労働者に対して高圧的に接することができるのは、「その労働者が辞めることができないから」だと言います。
マルクスは労働者が労働者になるための条件を「二重の自由」という言葉で表現していますが、これを簡単に現代風にアレンジすると、「生産手段がなく、自分では商品を生産できないと労働者になる」。
ブラック企業では、他にお金を稼ぐ手段がないから、
その企業に隷属してしまい、極限まで搾取されてしまうということになります。
社員が「じゃ、辞めます」と言えば、ブラック企業も成り立たないわけで。
つまりは、労働者が企業に依存している構造が、ブラック企業を生んでいるのです。
ブラック企業にハマらないためには、他にお金を稼げる手段を持ち、フリーランス・マインドでいつでも動けるようにしておくことが重要だと言っています。
ふむふむ。
資本主義のシステムをわかったうえで考えると、またちょっと違った視点が得られますね。
(このブログでは企業の利益の仕組みを省いたのですが、それがわかるともっともっと納得です!)
教養として学ぶだけでなく、自分の仕事・人生に役立つ『資本論』!
それをわかりやすく抽出してくれている『超入門資本論』、おすすめです
