2018年のPISAの結果で、日本の高校生の読解力が下がっていることがわかり、いろいろな人がいろいろなことを言っています。

★前回のブログはこちら→【読解力】PISAの結果で、日本人の読解力低下がヤバイとわかった件

最近、これを話題にしているユーチューバーのみなさんの動画をざざっと見ているのですが。

ナルホドと思うこともあれば、「なんでそうなる!?」とびっくりしてしまう意見もあり、「それこそ大人たちの読解力が問われているのでは・・・ガグガクブルブル」となっています。

まず、PISAの言う「読解力」の定義について確認しておきましょう。

自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力


文章を読み取るだけではなく、「情報をいかに使えるか」というところに力点が置かれているようです。
こんな特徴があります。

1 テキストに書かれた「情報の取り出し」だけはなく、「理解・評価」(解釈・熟考)も含んでいること。
2 テキストを単に「読む」だけではなく、テキストを利用したり、テキストに基づいて自分の意見を論じたりするなどの「活用」も含んでいること。
3 テキストの「内容」だけではなく、構造・形式や表現法も、評価すべき対象となること。
4 テキストには、文学的文章や説明的文章などの「連続型テキスト」だけでなく、図、グラフ、表などの「非連続型テキスト」を含んでいること。


私たちがふだん使っている「読解力」という言葉とはちょっと、いやかなりニュアンスが違うことは、確認しておかなければなりません。


具体的に、どんなもの?というのは、公表されている問題を実際に解いてみるのが一番でしょう。

というか、まずは解く、少なくともどんな問題か見る、ということは必要なんじゃないかなぁ。それをせずに「日本人の読解力低下が下がっていることについて解説しよう」って言っている人が多い気がする・・・


さて、2018年のPISAの読解力の問題例として、国立教育政策研究所が公表しているのはこちらです。
 ↓
2018年調査問題例(読解力)


地元の図書館で来週講演会があります。講演をするのは、近くの大学の教授です。彼女は、チリの3200キロメートル西にある太平洋のラパヌイ島に関するフィールドワークについて話をします。

あなたは、世界史の授業でその講演を聴きに行くことになりました。そして講演会に行く前に知識を得るため、ラパヌイ島の歴史を調べるという課題が先生から出されました。

一つ目の資料は、その教授がラパヌイ島に滞在していたときに書いたブログです。


という、なかなかワクワクする前提から始まり、「ある大学教授のブログ」をまずは読みます。

ある大学教授のブログ

*これらの画像は雰囲気を伝えるためのものです。実際の問題はリンクからPDFをご覧ください。

そして、このブログから読み取れることについて問いがあります。

教授がフィールドワークを始めたのはいつですかという問いに四択で答え、教授の言う「謎」とは何ですかという問いに記述で答えるという感じ。

さらに、関連する資料として「書評『文明崩壊』」

書評


「サイエンスニュース『ラパヌイ島の森を破壊したのはナンヨウネズミか?』」と合計3つの資料があり、これらを読んで全7問の問いに答えていきます。

サイエンスニュース


最後の問題は、3つの資料を総合して、「ラパヌイ島の大木が消滅した原因」について考えを記述するもの。根拠として資料にある情報を挙げるのが条件です。



全7問、解いてみましたよ。

資料となる文章はブログ、書評、サイエンスニュースでどれも500字程度のものであり、決して長くありません。読みやすく、シンプルな構成です。
問題自体も非常にわかりやすく(出題意図も明確)、「何を答えればいいのかわからない」ってことはないはず。

正直言って・・・簡単だと感じました。素直な問題でひっかけもなく、悩むところはほぼない。
内容もけっこう面白いし、良問なのでは。

ブログやネットニュースに触れる中で、正確に情報を取り出し、整理して活用していくと考えた場合の、最低限の力を見ることができるようになっていると思う。

これができないとは、どういうことなのか。

引き続き考えていきたいと思います。