2020年、あけましておめでとうございます。

私は1月1日に発熱し、ひたすら寝て過ごしておりました。寝ていられるということに感謝です。おせち作ってあったから食べ物には困らないし、子供たちのお世話はパパがやってくれました。おかげさまでもう良くなりました。


早速、読解力の話を続けますw

これまでの記事はこちら。

【読解力】PISAの結果で、日本人の読解力低下がヤバイとわかった件
【読解力】PISA「読解力」の問題例を解いてみた
【読解力】PISA読解力低下は、日本の子どもがパソコン操作に慣れていないからなのか問題

OECD 生徒の学習到達度2018年度調査(PISA2018)のポイントにはいろいろなデータが載っています。前回お伝えした「学校外での平日でのデジタル機器の利用状況」もその一つです。

学校外での平日のデジタル機器の使用


これを見て残念に思ったのは・・・

「動画コンテンツを見る」という項目がない!ということです。
ソニー生命による「中高生が思い描く将来についての意識調査2019」では、男子中学生のなりたい職業1位がYouTuberですよ。女子も7位にランクインしています。
中学生のなりたい職業



自分の子どもや周りの子たちを見ていても、ユーチューブ強し。テレビはあまり見ないけど、ユーチューブ!ユーチューブ!なのです。

ユーチューブに慣れ親しんだ子が、何か知りたい、学びたいと思ったときどうするか。

「これこれについて解説しているユーチューブを探そう!」って思うのは当然の成り行きではなかろうか。

ユーチューブ


そんなわけで、いま私が知りたいと思っている「PISA読解力低下のニュース」について解説しているユーチューブを徹底的に見ました!!メモをとりながら3分〜40分の動画20本を各2回見たぞ!

*YouTubeの検索窓で「PISA 読解力」などのキーワードを入れて出てきた動画を確認し、あまりにも関係ないものは外して見ていきました。このニュースについて解説している動画は約20チャンネルありました。キーワード検索にかからなかったけれど、このニュースについて語っているものもあるでしょうが、それは確認しておりません。



まず・・・、やはり文章で読むより面白く感じることは否めません。というか、文章より「早く」面白く感じる。文章は、面白く感じるまでに時間がかかります。面白い文章に出会えたときは、もっと深く面白いんですがね〜
声のトーンや身振りなど、エネルギーがのっているからでしょうか?
たいしたこと言っていなくても「聞けちゃう」んですよね。

一部、データを丁寧に見て分析しようとしている動画もありましたが、ニュースの解説になっている言える動画はあまりありませんでした。「読解力」という言葉に反応して、自分の話題にひきつけて話をしています。
ニュースを読解しているのではなく、反応している。
これはツイッターなんかでもよく見られます。
詳しく知ろうとしないで言葉に反応してアウトプットする人々を「反応系」と私は呼んでいますが、そのように見受けられました。
PISAの読解力はリーディングリテラシーのことで、国語的読解力とは違います。でも、よく知っている国語的読解力のことと思って反応してしまうのですね。

センター国語への恨みを話しはじめるとか・・・

国語みたいに解釈の分かれるものを勉強するより、理数系やったほうがいいよ!
もう国語なんていらないから。英語勉強しよう!

っていうのは、PISAの読解力の定義と問題例を見れば的外れだということがよくわかるでしょう。

あと、とにかく本を読め!新聞を読め!っていうのも、何も言っていない(汗)


よい指摘の話も。
このテーマで話をしているユーチューバー(動画投稿者の意味で使っていて、職業ユーチューバーに限りません)は比較的塾の先生が多く、現場の声として興味深い指摘もありました。

・今の子どもたちは絵の情報に慣れていて、文字だけの情報から読み取ることが難しくなっている。自分の中で絵をつくりだす能力が必要。

・学校・塾業界がブラックで働く人が減り、塾ではアルバイト講師が増えている。教える側の学力、指導力が落ちている。

・大人が子どもに何でも先回りしてやってあげすぎている。考えて言葉にする機会を奪い、それが読解力低下につながっている。



最後に・・・
きわめつけの話。

すごいテンションで「このニュースを解説しよう!」と出てきて、「発信者に発信力がないのが問題だ。コミュニケーションは受信者が決める。相手がわからない文章書いているほうがダメ。だいたい文字を読むのが一番効率が悪いんだ。音声、動画、会ったほうが圧倒的にいい。読解力がないのは、それが必要ないから!」とまくしたて、最後に「ニュースを見るなら本質的なところを見てください(ビシ!)」ときめていたユーチューバー。

ポカーン。

驚くべきは、この人のチャンネルが最も登録者が多く、動画再生数が多く、そしてこの人は職業ユーチューバーで、どうやらユーチューブで月数千万を得ているらしいということ(収入の部分は未確認情報です)。


怖すぎるでしょ!


みんなこれをどう思って見ているのでしょうか・・・
さすがわかりやすいなぁ!って?
いやいやちょっと待て!PISAの話まったくしてないよ!

ユーチューブが悪いわけではないが、こういう動画ばかり見ていたら読解力は絶対身につかないぞ!!