ちょっと時間があいてしまいましたが・・・

PISA読解力低下のニュースについてあれこれ読んでいる中で、見逃せない指摘だと感じたものがあります。


それは、(全体的に読解力が下がっているというより)低得点層が増加しているということ。


習熟度レベル

図にあるように、習熟度レベル1以下という低得点層が増加しています。前回より4ポイント増えて、全体の16.9%になりました。

これについて指摘している記事は複数ありますが、たとえばMAG2 NEWS「読解力の底割れが始まった。『話が通じない階級』再生産の悪夢」

低得点層が約17%、つまり生徒の6人に1人が十分な読解力を持っていないのです。しかも、これほど低得点層が増えたにもかかわらず、ある意味「15位で踏みとどまれた」ということは、高得点層が全体的な下落を下支えしてカバーしたと考えられます。

これはつまり、十分な読解力を備えた子どもが増える一方で、読解力の底が割れてしまった、文章が読めない子どもも同時に増える「二極化」が進んでいるということを意味します。

平均だけで見ていると、分からないことだが、日本の読解力について、心配なのは、レベル1といって、もっとも易しい水準以下の生徒が15%以上もいることだ。ここにもっと注目してほしい。しかも、その割合は、2012⇒2015⇒2018と近年、増えている(次の図)。ぶっちゃけ申し上げて、この低読解力層が底上げされると、日本の平均点はすごく上がる。 (図はすでに載せたのでここでは略)

PISAは15歳(日本では高校1年生)向けの調査だが、レベル1以下ということなので、おそらく小学校(あるいはそれ以前)からのつまずき、問題を引きずっている(小学校段階や中学校段階で克服できていない)可能性がある。

 これは学校教育の責任としても、また家庭の責任としても、重く受け止めたほうがよい事実だ。

 レベル1以下の子に、「もっと本を読め、新聞に目を通すようにせよ」などと言っても、おそらく、効果は薄い。基本ができていない、理解できないのに、本や新聞を読むのは苦痛だし、すぐにやめてしまうだろう。


問題の形式に慣れていないから〜とか、読書量が足りないから〜などと言うと、軽い感じで改善もそれほど難しくない気がしてしまいますが、低得点層の増加に注目するともっと深刻な問題なのだと感じます。

「子どもの貧困」問題とも無関係ではないでしょう。 「平成28年国民生活基礎調査」によると、日本の相対的貧困率は15.6%。低得点層の割合と近いですね。

相対的貧困率15.6%のうちの半数はひとり親世帯だそうです。親が非正規雇用だったりアルバイトだったりで収入が不安定というケースも多いでしょう。

親の帰りが遅く、家庭内での会話、コミュニケーションがどうしても少なくなってしまう。精神的な余裕がなく、ポジティブな言葉かけや「読み聞かせ」ができていない。

そういう子どもたちが読解力を育てられず、能力を発揮できないとしたら本当に悲しいことだと思います。

マイナビニュース「PISA調査で日本の読解力低下が浮き彫りに 原因は読書の量ではない!」では、「文字情報を音声情報に変換する作業が下手な人は、思考がうまくいかない」「このタイプの子どもたちには読書や音読練習以上に、読み聞かせが効果がある」という話をしたうえで、このように言っています。

SNSやスマホ原因説も多いですが、深い読書とそれに伴う深い思考ができる人間がSNSやスマホ中毒になったとしても、その能力がなくなるわけではありません。本人や親がSNSやスマホを多用し、それ原因で家庭内の会話が乏しく、読み聞かせも受けていない場合は、深い読書とそれに伴う深い思考が育っていないことはあり得ます。

各紙紙面の隅に書かれていますが、経済格差の問題も大きいと思います。朝日新聞では「(家庭の経済状況の)最も厳しい層では、読解力の最下位水準の子が4人に1人以上いた」とあります。恐らく読み聞かせなどは受けていないのでしょう。


では、どうしたらいいのか・・・

引き続き考えていきたいです。