「この本、いつか完成しますかね、、?」

サンプルとして偉人2名分の原稿を書いたけれども、これが全然OKがもらえず1ヶ月やりとりを続けたので、編集の水口さんがつぶやきました。

「1年かかりそうですね、、」と答えた私。(本当にかかった)


想像以上のハードルの高さに、原稿を書く私と、それを細かく見てくれている水口さんと、2人とも不安が押し寄せていました。


これまでの経緯はこちら。

『オタク偉人伝』ができるまで1.企画が生まれた瞬間
『オタク偉人伝』ができるまで2.当初の企画書を公開

『オタク偉人伝』ができるまで3.サンプル原稿を書けども通らず




「面白い本にならなければ出さない」という姿勢のアスコムさんですから(おそらく)、あらためて「面白いってなんだ?」ということを考えることになります。


面白いって、なんでしょうか。

どんなときに面白いと思うか。

・知的好奇心が満たされるとき
→偉人が成し遂げたことや発見したことそれ自体、知的好奇心を満たすものになる。たとえばガリレオがどうやって地動説にたどりつき、それを伝えたのか。ダーウィンの進化論とはどういうものなのか。ワットが改良した蒸気機関ってどういう仕組みなのか。
私は伝記を読みながら、偉人がたどりついた真理や説それ自体にとても面白さを感じたしワクワクしました。

・新しい発見ががあるとき
→単純に、知らなかったことを知ることは面白いが、知っているつもりだったけれど「そうだったんだ!」「それは知らなかった!」というものがあると面白い。
伝記を読んだことがあったり、有名な偉人だから知っているつもりだったけれど、そんな一面があったんだ!という発見があることが大事。

・共感できるとき
→「あるある」「その気持ちわかる」「友達の誰々みたい」のように、共感できたり身近に感じることができると面白い。
偉人が遠い人ではなく、自分や友達に似ていると感じられたり、「わかる!」って思ってもらえることが大事。

・驚きがあるとき
→想像を超えるような、「ウソでしょ!?」「まさか!」って思えるようなことは面白い。
偉人たちは熱中のレベルが想像を超えていることがよくあり、「ウソでしょ?そこまで?」って言いたくなるのだけど、それはとても面白く感じる。周りの人にも伝えて、驚かせたいって思う。

・スイスイ読めるとき
言葉遣いがちょっと極端だったり勢いがあって、スイスイ読み進められると面白く感じる。慎重な書き方より、思い切ってる書き方のほうがどんどん先を読める感じがする。



こういった「面白さ」を追求するわけです。

面白いとは、決して茶化したりふざけたりすることではありません。
ここは微妙なラインになることもあるのですが、私は偉人へのリスペクトを絶対に忘れないようにということを常に思っていました。

資料としてたくさんの伝記、評伝、自伝を読むほど偉人への尊敬の念は強まり、大好きになっていくので、これは自然にそうなるのです。ただ「すごい、尊敬」が全面に出ちゃうとまた面白くなくなるというのがあって、調整しなければなりません。だからこそ「面白いってなんだろう」と意識する必要があるんですね。


さらに、菊地さんからは「絵を意識してください」と言われました。

挿絵をたくさん入れますので、文章を書く段階で「この部分はこんな絵になる」というイメージを持っておくこと。

これは私は最初全然できていなかったのですが、絵を思い描きながら文章を書くように意識していきました。

絵が思い浮かぶほど文章が書きやすくなり、読みやすくもなります。
とてもありがたいアドバイスでした。



また、あらためて、この本はどういう本なのかというのを確認しました。


『オタク偉人伝』は子どもの「好き」を応援する本。
偉人たちの子ども時代のオタクぶりに驚いたら笑ったりしながら身近に感じ、こんなにハマっていいんだ!自分もすごい人になれちゃうかも!ってワクワクできる本。

これを制作メンバーで都度確認しつつ、進めていきました。




つづく。