自分に対し攻撃的だったり、イヤなことを言ってきたりする人とは距離をとるのがいいというのが普通の考え方だ。

しかし、「そういう人がいたら、中に入ってみなさい」という人がいた。

「実際に自分の中から抜け出て、相手の人の体の中に入り込むイメージをするんです。すると、不思議なことが起こります」

 その人自身、嫌がらせをしてくる隣人の体の中に入って隣人の気持ちを味わったことで、嫌がらせがピタリとやんだらしい。

 私はこの話を聞いて、やってみようと思った。その日の帰り道、早速チャンスが訪れた。電車の中に、ブツブツと文句を言い続けているおじいさんがいたのだ。白杖を持っており、目が見えないのであろうことがわかった。かなり怒った様子で、何を言っているかはわからないが、怖い感じがするため車内の人は彼を避けて座っていた。

 私はおじいさんの近くに座り、自分から抜け出て、おじいさんの中に入った。すると、不安な気持ちになった。車内はガヤガヤとうるさく、アナウンスが聞こえにくい。不安から怒りのようなものが湧いてきた。なぜ自分にやさしくしてくれないのか?

 電車が止まった。その駅でおじいさんは降り、私も降りた。ホームで別の電車に乗るため待っていると、さきほどのおじいさんが杖をつきながら私に近づいて来た。

「さっきはありがとう。心配してくれていたのはあなただよね」

 私は心底びっくりした。私はおじいさんの中に入るイメージをしただけで、何も言っていないし、手を貸したりもしていない。

「はい。大丈夫ですか?」

「ありがとう。あなたはきっと幸せになるよ」

 おじいさんはそう言って去っていった。

 これは本当にあったことである。相手の中に入るのは、ものすごい効果があるみたいなのだ。


奇しくも、古代ローマの皇帝であり哲学者のマルクス・アウレリウスも、「イヤな相手の中に入ってみよ」という言葉を残している。


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「イヤな人との関係」が一瞬でラクになるすごい方法・ナンバー1



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